「ハウルの動く城」 ☆☆☆


評判の微妙だったハウルをこの前見たのだが…案外悪くなかった。いまさらだけど自分なりにちょっと分析を書いてみる。

ストーリーが語られない

まず自分が気付いた点は非常に主観的に物語が語られている点と、女性の視点から物語が語られている点だ。
前者はまず、前から言われているようにストーリーが語られないといった部分。
話の視点が主人公のソフィーから他のキャラクターに移るといったことがほとんどない。例えば、もののけ姫ではサンがおっこと主様を食い止めるシーンなど、明らかに主人公アシタカからサンに視点が移っているし、その視点の移動によって物語が客観性を持ち、誰もが理解できるものになり得る。逆に「ハウル」ではソフィーからほとんど視点が移ることがなく、主観的な物語の作り方になっている。
次に後者の「女性の視点から語られている」という点。
この物語のキーとして戦争という要素があるが、何故戦争が起こっているのか、どういう状況下にあるか、などということはほとんど語られない。先ほども言ったようにソフィーの主観的な視点のみから戦争が語られるため、「ただ暴力的でうんざりするもの」というぐらいにしか扱われていないのだ。むしろ戦争なんかよりも、周りの身近な人の安否や好きなハウルがどうなるか、ということに興味がそそがれている。そのような点は非常に女性的だ。

老婆になる魔法

物語の初期の段階でソフィーは老婆にされるが、ふと気付いた。
あれって「臆病」という魔法なんじゃないか。恋に対して、という意味で。(自分で言ってて恥ずかしい)
寝ているときや、勇気を持って何かを主張するときに魔法が解ける。そして、物語が終わりに近づくにつれてソフィーは老婆ではなく、白髪の女性へと変化していく。老婆になっているのは恋からある意味逃避しているが、老婆である以上まだ女性なのだ。誰にも解くことができないということは、女の子に対しての「自分自身で克服しなさい」という製作側からのメッセージなのかもしれない。しかも、最終的に魔法は解けることなく白髪のままで物語が終わるというのも、何かを暗示している。

総評

ぶっちゃけ、分析を拒む物語です。見ててそう思った。分析しようにも、まるで向こうが予測したように矛盾点を出してくるしなあ。もしかしたら適当に作ったのかも。
女性なら共感できる部分多いだろうね。物語の基盤が女性の視点で、メインが女の戦い(荒地の魔女、サリマンがライバル)に、恋愛という調味料をかけた映画だもの。
男にはキツいかもな。