ローゼンメイデン ☆☆☆★

Rozen Maiden 1 (バーズコミックス)

Rozen Maiden 1 (バーズコミックス)

amazonで早速1〜6巻まで買ってしまった。全評通りアニメと展開が違えば、キャラの性格も微妙に違っていておもしろい。
amazonのレビューにも書いてあったが、やはり原作の方が心理描写が繊細かつ秀逸。双子姉妹の話だと、片方のマスターが双子だったという設定があったりして、それぞれが立場の上で重なるようにも見ることができ、しっかりと深く読めるようにできている。
全体の印象として線が細く、アニメ版よりも「軽い」印象を受ける。かと言って読み応えが無いわけではなく、「軽い」というより「重くない」とか「あっさりした」と言った方が良いのだろうか、とても物語に入りやすく、とっつき易い。
おもしろいのが、数学の思想が時々出てくるということだ。
「nのフィールド」という異空間が出てくるのだが、設定として「この世の数だけ『nのフィールド』が存在する」という。「n」は数学的には「任意の自然数*1」という意味があることを考えると興味深い。また、真紅が「あと時間は7分34秒あるわ」とか、水銀燈が「貴女にあったのは586920時間37分ぶりね。」とか、最初はこいつらが人間じゃないことを強調したいのかと思ったが、どうも違うらしい。時間や数字が出るような場面ではしっかりと具体的な数字が毎回、毎回、出てくるため、作者が決して数字に対して手を抜かない、いや数字に対して敬意を払っているようなのだ。これは数学に敏感な人間なら分かるだろう。
パッと見明らかな少女漫画なのだが、少女漫画特有のゴチャゴチャ感や過剰装飾は無く、むしろあっさりしているものの、緻密な心理描写とちゃんとした思想が入っているという一風変わった漫画。読む価値アリ。

*1:1,2、3、…とずーっと続く数のこと