埼玉県知事の上田さんの発言は不祥事ではない

朝からYahooニュース見てたら、訳の分からん記事があった。
Yahoo!ニュース - 自衛官が「人殺しの練習」=上田埼玉知事、式辞で発言(魚拓)


玉県の上田清司知事は2日、さいたま市内で開かれた県新規採用職員就任式の式辞で、「自衛官の人は大変ですよ。分かりやすく言えば、いつも平和を守るために人殺しの練習をしている」と発言した。さらに「だから、われわれは『偉い』と言って、(自衛官を)ほめ称えなくてはいけない。頑張れ、頑張れと」と述べた。
 同知事は警察官にも言及し、「県民の生命や財産を守るという崇高な使命の下に、どうかすると人を疑ったり人を痛めつける練習をしなくてはいけない」とし、「(県職員は)そういう類と違って多くの方に喜びを与え、感謝され、自分もその喜びを感じることができる素晴らしい仕事」と続けた。 
「へえ、良いこと言うじゃん。この人武道やってそうだな。」とか思ってたら、

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は? なによこれ。この発言のどこが不祥事なんだ
練習不足、経験不足、実力不足の自分なんぞが武道を語るべきではないが、今回ばかりはご容赦を。ちょっと頭に来たんで語らせてもらいます。

「武道」の概念

そもそも武道以前の”武術”は身を守るための技術であり、そのためには人を殺すことも視野に入れているわけである。残虐なこともいとわない訳だ。
そして、自分を襲ってくる相手よりも強くなることで初めて、相手を殺さずに対処、相手を制することができる。
いうなれば、相手にとって優しくなれるわけである


その部分をさらに延長し、「心身を鍛えて強くなることで人に対してやさしくなる道」というのが”武道”なのである。


武道はある種の暴力を含むが、自分の大切な人を守ることにも使えるのだから、非常に意義のある”道”であると個人的には思う。




で、自衛隊や警察なんかは「武」の体現者とも言えるわけだが、彼らは”仕事”としてそれをやっているわけであって、中にはそんな「ある種の暴力」を好んでやっているとは限らない
だから、


自衛官の人は大変ですよ。分かりやすく言えば、いつも平和を守るために人殺しの練習をしている」と発言した。さらに「だから、われわれは『偉い』と言って、(自衛官を)ほめ称えなくてはいけない。頑張れ、頑張れと」

同知事は警察官にも言及し、「県民の生命や財産を守るという崇高な使命の下に、どうかすると人を疑ったり人を痛めつける練習をしなくてはいけない」
という発言も頷けるんですよ。飯食わなきゃならないから仕方無く警察官・自衛官やっているケースも考えてる。


んで、上田さんは武道やってる方だとは思うけど、念のため調べてみたら、やはりそうらしい。
http://beta3.keikakuhiroba.net/executive/26_01.htmlキャッシュ)*現在、文章が入れ替わってます。”キャッシュ”の方を見てください。


田吉兆へ行くと決まったら、実家で働いていた板前たちに「若、吉兆は厳しいで」といわれました。「糊のばす」というのですが、障子を貼るときに糊を塗りますね。すっとのばすと糊が薄くなる。それほど働かされると愕かされたんです。

 実際、先輩に殴られたりすることもあったんですが、私は武道をやっていましたから、全然平気でした。「小山を叩くと手が痛い」といって、鍋とかまな板で殴る先輩もいたぐらいで(笑)。

しかも団塊の世代で武道のさかんな九州出身となると、上田さんはかなりの使い手だと思われる。
うちの親父も団塊なのだけど、あの辺りの世代に教えてる人は戦争帰りで非常に即実的なことを教えてたり、人を実際に切り殺してる人も多い。*1剣道を学ぶ場合でも、居合道も兼ねて教えられてるケースも多いようだし、木刀での打ち合いどころか模造刀*2とか、真剣での練習も許可してたらしいからねえ……。少なくとも、今と違って随分本格的な武道教育を受けた世代に違いない。


と、話が逸れた。
残りの


「(県職員は)そういう類と違って多くの方に喜びを与え、感謝され、自分もその喜びを感じることができる素晴らしい仕事」と続けた。
だけど、これは同じ立場の人間だからこそ言える発言でしょう。「”武”という行為を行っている警察官・自衛隊と自分は同じ立場だ」という意味で。
だからこそ「そういう類」というのは上田氏自身のことも指してますよ、これ。
県職員を励ます発言としてはうまい言い方なんじゃないかな。

というわけで

http://d.hatena.ne.jp/enoki_ny/20070403


怒りのままに書いてしまいましたが・・・このひと警官にもけんか売ってるな。
いやいや、けんか売ってないです。叱咤激励してるだけでしょう。


人殺しの練習 | 陶玄郷だより (フラクタルの森) - 楽天ブログ


剣術、剣道は、人を切るための訓練なんでしょうか。
「平和を守るために人殺しの練習をしている。」という発言を聞いて、
私は涙が出てきました。
土下座をして謝るべきです。
剣術、剣道は間違いなく「人殺しの訓練」です。うちの合気道の師範も「合気道は人殺しの道具だ。」と言っております。
ある意味”危険”だからこそ役に立つわけです。
守る側だから、そのことを徹底的に頭に入れて、自覚して訓練しないといけない。
でなければ、妙に高等なことをやっていると勘違いするケースもあるし、有事のときにも過剰な被害を与えかねないのです。


作法30 - 五反田諜報部


人殺しと言う言葉自体、日常生活でそうそう使うようなものでもなかろう。分かりやすい例えのために、無用の誤解を招く。上田知事には猛省を促したい。
俺は日常でも使います。人や集団によって使う言葉は変わるでしょう。


2007-04-02 - ゆくしむにーさー


このひとはバカだけど誠実(正直)だ。バカは首長なんかやるもんじゃないと思うけど。
上記のようにバカでは無いのです。むしろ、非情に含蓄を含んだ発言と言えます。
というか、この時事通信の記事、非情に狡猾で性質が悪い。


自分がこういう正当な批判を記事の側にぶつけたとしても、「事実をそのまま伝えただけだ」と弁解できるような記事の書き方をしている。
(カテゴリの「不祥事」や各ブログの反応を見ると、何を狙っていたかは明らかとも言えますが。)
つうか、上田知事が武道やってる人間ということぐらい書いておけよ時事通信。意図どおりなのかもしれんが、あれじゃ今回みたいに皆誤解する。



つーわけでブクマでこれはひどいを付けている人時事通信に釣られてしまってるわけだ。(時事通信が誤解してる可能性もあるが)
つーか、このネタで「痛いニュース」あたりが騒ぎ出したら最悪だな……。

追記

上田氏が武道やってる証拠として提示したサイトの文章がすりかわってます
Googleキャッシュと比較すればわかるのだけど、武道に関連する記述と日本料理に関する記述が「ゆとり教育」の話に入れ替わってます。


上田氏側が指示したのか、それとも上田氏の対抗勢力みたいなもんがいるのか……。意図がよくわからん。

*1:誤解していただきたくないが、それだけ「人を斬る」ということが解っている、という意味である

*2:”刃”のついていない刀