ニコニコ動画における娯楽供給スパイラル

昨夜essaさんの記事をなんとなく見てた。


「世の中は厳しい」なんて大嘘 - アンカテ
 ↓
奪いあう競争と創りあう競争 - アンカテ


私が毎日目にしている「競争」とはまず「いかに皆に好かれるものを作ることができるか」という競争だ。その手段としての「いかに知らない人とつながることができるか」という競争でもある。そういう意味での競争は激化していて、「皆に好かれるもの」がどんどん生まれて、そのベースとなる「つながる」ための技術はどんどん進化している。
で、現在のニコニコ動画が典型例だよな、と思った。




文字や絵などのテキストベースであれば、読み手の慣れとか技術によって情報取得の速度を上げることも可能なのだけど、『動画』というものは3分とか4分とか時間が決まってて他のものを見たりとか別の行動ができない。ながら作業が出来なくて、確実に「その分だけの時間」が取られてしまう。*1 言うなれば、文章や絵に比べて閲覧数が少ないんですね。一時間あたりの閲覧数:「文章・絵>>>>動画」みたいな。


じゃあ閲覧数が少ない分、何が起こるか、というと競争の激化みたいな部分があって、如何に皆人を引き付けるような動画を作るか、とやっきになって色んなモノを創り始める。で、競争とは関係ないところにいた人がそういう作品に影響されてまた何か創り始めて、創作人工が増えてまた競争激化……、という正のスパイラルなんだか負のスパイラルなんだか分からないような構造がニコニコ動画内にあるなあ、と思うわけです。

Youtubeと比較してみる

と、ここまで書いて「じゃあYoutubeはどうなんだよ?」とセルフツッコミが入ったのだけど、ニコニコ動画の方が競争が激しいように思える。
原因としては、

  • 画質・音質がYoutubeより上で、Stage6よりも重くない
  • コメント

ってのが挙げられて、いちばん上の原因はまあゲームで言えば「FCよりもSFCの方が出来ること多いよ」みたいな理由なんでまあ良いとして、下の「コメント」ってのがでかい。
Youtubeだと『動画職人』だけでスパイラルを実現しないといけないのに対し、ニコニコ動画だと『動画職人』と『コメントアート職人』(参考)の二人の共同作業のような部分があって、動画職人も「ここら辺にはコメント入りそうだから空けとくか」みたいな。さらに、ニコニコ市場っていう”オチ”もあるから、そこいらの相乗効果がスパイラルの加速度を飛躍的に上げていて、えらいことになってる。てか、動画生産量が多すぎて個人での動画散策が追いつかなくなってるせいか、ニコニコ動画内だけにおいて特定ジャンル動画のまとめ動画がアップロードされてて、それすらも需要があるような状態。


ニコニコ動画内において、ある種の”文化”がものすごい勢いで構築されているのを見ると凄すぎてリアリティが無いというか、ニコニコ動画を全然見ていない人にとってはその凄さをどれだけ具体的に説明しても理解できないんじゃないか。むしろ、「そもそもそんなことはあり得ないでしょw」と一笑に付す人が出てくるのも時間の問題なんじゃなかろうかと思う。こうリアルタイムで見ている人間ですらリアリティが無いからなあ……。


語ってるとキリが無いので今日はこの辺で切ろう。

*1:音楽のみの動画は別