最近の初音ミク批判について思うこと

araig:net - 初音ミクの魅力がオタクでない僕には分からないので教えて下さい


初音ミクか……。
正直、画像検索失踪事件が釣りかどうかとか以前に、ここ1ヶ月の一大初音ミクキャンペーン自体が壮大な釣りなんじゃないか、と思うぐらい、初音ミクの何が凄いのかさっぱり分からない。
ニコニコ動画大好きな俺としては最初ムッとしてしまったんだけど、よおく読んでる内に「ああ、この人は本当に音楽が好きなんだな。だから初音ミクを批判しなきゃいけない部分があるのか。」と納得してしまった。
(あくまで「音楽好きは全員初音ミク嫌い」というわけではなくて、音楽好きな人の中で「これは許せない」と感じざるを得ない人がいる、という意味。)




初音ミクムーブメントは本質的にはアイマスMADの流れと同じで、「これは凄い!」と感じた人が見据えてる先もおそらく同じ。で、初音ミクは音楽ツールの一種ではあるのだけど、本質的には音楽ツールではなくて将来的に何か別のモノになっていくことを皆うすうす感じていて、言い方は悪いのだけど「音楽を踏み台にして、高みへ昇る」みたいな構造がある。音楽は目的ではなくて、あくまで手段として使われてしまっている部分がある
構造としてはファッション雑誌が「ちょいヲタ」とか取り上げて、「本当は好きではないのに、アニメやゲームとかPCができるとこをちょっとだけアピールしてモテよう」みたいなミーハーさが一連の初音ミクムーブメントには存在してて、そりゃあ「ちょいヲタ」が本当にアニメやゲームやPCが好きな人間に叩かれたのと同様に、音楽にそれほど詳しくない人間が初音ミクの「ちょい音楽」でワーワー言ってて「歌い手はいらない」とか「これは音楽ツールだ」と主張してたら、そりゃあ一言言いたくなるよなあ……と。

初音ミクムーブメントで「何か生まれる」のは確か


初音ミク──そこには「初音ミク」という圧倒的中心があり、「ニコニコ動画」という圧倒的フィールドがある。アニメ、ゲーム音楽おっさんホイホイというコンテクストがある。人はそこでwキーを連打し、神と叫び、涙腺崩壊などと、瞬間的に反応し、再生回数を上げて行く。ありったけの呪詛を込めて言うが、ここからは、絶対に、何も、生まれない。
ニコニコ動画という圧倒的多数派に”音楽”という自分のとても大切なものを踏み荒らされて、悔しくて悔しくて仕方ないのは共感できる。


ただ、初音ミク職人達が徹夜で音声調整やら3Dモデリングキャラ作ったり、オリジナルソング作ったりしてる流れを見て、「こりゃすごい!」と感動して初音ミク好きになった人間もいたりする。id:araignetさんは音楽が好きだけども、彼らは初音ミクが好きなんですよ*1。そこだけは認めて良いんじゃないだろうか、と思う。ブクマコメやらコメント欄が荒れるのはその感情の表れであって、id:araignetさんがエントリ上げたのと理由としては近い。
なんというか、初音ミク好きというのは、「初音ミクというバーチャルアイドルが好き」とは限らず、タダでわけのわからないクオリティのものを作ったりする職人達もすごく好きで、その心意気に惚れ込んだ同胞もひっくるめて好きだったりして、その高揚感をうまく言葉にするにも中々できずに(あるいは敢えて言葉にせずに)、その結果「初音ミクすごい」って言葉が出てきたりする。初音ミクは音楽ツールというより、そういうものの”象徴”なんですね。
(アイドルではあるけど、アイドルとはちょっと違う)




ここで客観的に見れば、何かを媒体にかなりの人数が集まってて、なおかつメンバーにやる気があるんであれば何か生まれるのは当たり前で、何も生まれない方がおかしい。なんつーか8/31に発売されてまだ約1ヶ月半なのに関連動画数が5527件ってことは、毎日約110件の関連動画がアップされてる計算になるので、それだけで尋常じゃないのは確か。人数としては十分過ぎる。


ただ、初音ミク界隈が「音楽を蹂躙して良い」なんていう権利は全く無いので「これで歌い手いらないな!」などという発言があれば、徹底的に糾弾すべきだと思う。(あくまで初音ミク界隈に「自重しろ」とは言わない。)




個人的にはもっともっと進化していって、200年後の教科書に「○○のはしり」として初音ミクやらアイマスが紹介されるような、そんな未来になればいいな、と妄想をしていたりする。*2

*1:彼らはあくまで「音楽」が好きというわけでは無いはず。

*2:ちなみに俺が妄想してるのは完全なバーチャルアイドルではなくて、もっと先のもの。