病気と悲劇とメシマズと

これ読んだのだけど、思ったことがいくつか。(まだ読んでない方はネタバレ注意)


心の病気や認知障害というセンもありそうっちゃありそうなのだけど、
まず、この嫁さんの頭の中をトレースしてみて思ったのが、

  1. 自分に料理ができないことを(認めたくないが)わかっている
  2. プライドが高いため、自分には能力があると思っている(思い込もうとしている)
  3. 大好きな旦那に料理を作ってあげて喜んでもらいたい
  4. 自分の欠点を見られたくないので、料理は作りたくない

12の葛藤と、34の葛藤が常にあるように思えた。


まず、3の「旦那に喜んでもらいたい」という理由から料理を作るんだけど、旦那に「まずい」と言われて2の「自分には能力がある」が否定された上に、4の「欠点を露出した無理な状態で頑張って作ってる自分」も否定されるので、感情が抑えられなくなり暴言を吐いたりするのではないかなと思った。つうか、嫁は毎日ずいぶん無理してたんじゃないのかな。自分としては頑張って作ってるのに、美味しいと言ってもらえるどころか急に「マズイ」と言われて「こんな訳のわからない料理を作るな」と言われたわけだし。
他の言い訳めいたものも、感情が抑えられなくなったときの自己弁護だと考えれば辻褄は合う。


「肉なんかどれでも一緒でしょ?いちいち貧乏臭い!」とか
「(店が)嘘ついてるかもしれないでしょ?!」と話にならない。
肉がどれも同じはずはないと思うんだが、本人曰く
ビーフステーキもチキンステーキもあるじゃない。同じだから同じ調理法なんでしょ」だとさ。
屁理屈すぎる…。
で、肝心の「自分で作った料理を食わなかった」というのがあるのだけど、これは怖かったんじゃないかなと。自分で食べて「まずい」と思ってしまうと、2の否定になるから食わなかった。ただ、それだけひどいものを旦那に食わすという点は弁護のしようが無いんだけど、その分罪の意識は大きく感じてたんだろうな。家から逃げたのも「私がこんなことやるはずない」感と、その辺りがありそうだし。


そういう見方から見ると、それだけ致命的に料理が下手くそにも関わらず料理を作ってたというのは、ある意味すげえなと思った。
例えば、自分が腕立て一回も出来ないもやしっ子だとして、「なんでこんな簡単なことが出来ないの?!」とか「腕立て200回余裕のA君がいるから、教わったらいいんじゃない。」とか恋人から言われ続けたらキツいですよ、そりゃ。心折れる。
で、このテの"自分が特定の分野に対して致命的に弱いけど、他の人は皆それが出来る"みたいな状況だと、自分は物凄く苦しいのに他人は理解してくれないばかりか「何やってんだコイツwwww」と蔑まれたり、「呆れた・・・。」と何がなんだか解らない内に呆れられたり、努力しようとして人に聞いてみるも専門用語ばかり出てきて余計解らなくなり、終いには何をやっていいのかすら解らなくなり、ますます孤独を深めて絶望の淵に叩き込まれるのがオチ。


この嫁にとっては「ラディッシュ」「鶏肉」は専門用語のようなものだったんだから、その辺り旦那が気付くべきだったんだろうな。ブクマでも言われてるように「一緒に料理する」とか、精神的にも磨り減ってたんだろうからカウンセリングも効果的だったはず。


あと、「こんなに食い物のこと知らない人間はいないだろ」って意見があったけど、このエントリ見るといいですよ。(スーパー手前味噌モード発動)
食育の重要さがよくわかる「ジェイミーのスクールディナー」 - 花見川の日記