プリズンホテル夏  ☆☆☆☆

プリズンホテル 1 夏 (集英社文庫)

プリズンホテル 1 夏 (集英社文庫)

こないだ読み終えたので感想を。
舞台は山奥の温泉ホテル。主人公の叔父が経営しているのだが、叔父はヤクザであり、その手の客が保養するためのホテル、それがプリズンホテルなのだ。そのためかいろんな意味でのはぐれ者(社会不適合者)がやってくる。
例えば主人公。最初からいきなり義母をこづいている。なんだこのダメ人間。その割りには小説書いてしっかり成功しているという変にリアリティのある設定。
ただこういうダメ人間系の悲惨な話ばかりというわけではなく、シリアスな中にも巧みに笑いがからめてあったりする。(さっきの義母が殴られはするものの、見事に受身を取ったり。) かと思えば涙あり喜びあり…、いろんなものが詰め込んであるのだ。食べやすくて量は少ないから、デコレーションケーキの一部のような感じだろうか。
ヤクザ、リストラ、自殺などの重いテーマを扱っていたりするのに後読感はあくまで爽やか。買って良かった。
ちなみにこの本だけでも完結しているのだが、あと秋、冬、春の3つがあるらしい。購入予定リストに入れとこ。