モーニング25号の読み切り短編が神すぎる件について

ch12482006-05-18

セブンイレブンまでそばを買いに行ったついでにヤンジャンとモーニングを立ち読みすることにした。
ヤンジャンにしろモーニングにしても読むもん少なくなったなあ…とか思っていたら、何かカラーページが。絵柄を見た途端にピンと来た。「これはおもしろいに違いない…」。自分のアンテナがビンビン反応しているのが分かった。

タイトルは「HOTEL」。
舞台は西暦2030年。止まらない地球温暖化により、海中のメタンと海から蒸発する水蒸気による飛躍的な温室効果が予測され、2250年までに「海の蒸発」が決定的になった…というシーンから物語が始まる。
もちろん、地球の気候を安定させるための最も重要な装置である海が蒸発してしまえば、生物が全く住めない惑星となるのは確実であり、失われた環境は二度と元に戻らないことが分かっている。そこで人類はどうするのか?

ここから先は実際モーニングを読んで欲しい。
これ程のクオリティの作品を久しぶりに見た。だってコンビニで立ち読み中で本気で泣きそうになって、読むの中断したなんてことは俺の中で初めて。しかも読み切りだから保存したいがために、わざわざモーニング買っちゃったよ! 人生で初めて自分の金でモーニング買ったわ!!

というかモーニングって、神がかった読み切り短編が一年か二年に一回ぐらいのペースで掲載されるなあ。だからモーニング好きなんだが。

以下ネタバレで

こういう「火の鳥」的な話めちゃくちゃ弱いんですよ俺。
「人の心を持ったロボット」「地球の終わりとその後の凄惨な世界」「死ねない辛さ」とかこういう要素に弱い。もうノックアウトされる。
生物のDNAを保存しようとするルイの健気さに胸打たれた。南極にして摂氏260度、800気圧の過酷な条件で永遠に生物のDNAを保存し続ける。この環境下だと熱のせいで常に嵐のような突風が吹き続け、砂塵も吹き荒れる。
西暦5000年に落ちてきた人工衛星に、エネルギー生産の要である温度差発電が破壊されたときにも、風力発電を大量に作ってエネルギーを補い、足りない分は調査隊を派遣して朽ちた核弾頭を拾ってきて補う…*1。 さらに自分が老朽化しないように常に自己を改良し、補修、補修、補修…。そんな環境下で何万年、何百万年も一人で、たった独りで大切なものを守り続けるってどんだけ健気な奴なんですかコイツは。まさにクロノトリガーのロボの話を思い出しましたよ。あれも俺泣きそうになったけど。
ロボの話は確か2000年間働き続けて砂漠を森にしたという話だったけど、こっちは2700万年耐え続けて死亡。ちなみにヒトの直接の祖先であるクロマニヨンが誕生してから現在までが15万年。アウストラロピテクスが誕生してから現在までが約500万年…。

冷静に見ると、こういう数字の使い方が非常に秀逸ですな、この人。すごい説得力がある。
ちなみにこの作者は韓国の方のようで、自身のHPをお持ちだそうです。
(→http://www.boichi.com/

*1:人類の存在を脅かす核弾頭がこんなとこで役立つのも皮肉