ジェラート

いつの間にかどこかの休憩所にいた。
山の奥までずいぶんと車を進めたら見つかるような、ささやかな休憩所。先の方にスキー場でもありそうな雰囲気だったが、実際あるのかどうかは分からず、周りを見ると常連のトラック運ちゃんは店長と親しげに話している。店長は30〜40代くらいの男性。めがねをかけていてとても気さくな人で、他に店員もいないし、一人でここを切り盛りしているようだ。
店自体、喫茶店と似ているがどこか違うので「休憩所」と書いている。店内はそれほど照明がついているわけではないが、暗くも無く、なんだか落ち着いた雰囲気を出している。
ずっと客と喋っている店長にアイスクリームのようなものを注文した。
コーンの内側にアイスが入っており、その上にジェラート(ブルーベリー味?)らしきものがソフトクリームのように乗っかっているお菓子だ。子供が食べていたので、自分も食べてみたくなったのだ。店長はすぐに手慣れた動作でそれを作り、俺に渡すと、また客と喋り始めた。食べてみるととてもおいしく、また来る機会があれば食べようと思った。
結局、俺は何回かこの店に来ることになり、店長とも親しくなった。
特製アイスを再び注文すると、店長は勝手に作って食べてしまっていいと言う。(お代は別だが)
店長のいない小さな別カウンターの奥に行き、ジェラートの部分を捻りながら作ろうとするが、なかなかうまくいかない。機械は店長のときと同じ動作音はするのに、全然ジェラートが出てこない。少しずつ出てくるジェラートをなめながら、すこしずつ食べた。店長に、
「あれぜんぜん出てこないよ」と少し困ったような顔で言うと、
「ああ。あれな。コツがいるんだよ。」と、満面の笑みで答えた。
お互いに笑いあった。